妊娠中の体重管理はお母さんだけでなく胎児の健やかな成長のために大切なことです。体に様々な変化が起こり、辛い時期でもありますが体重はなるべく増えすぎたり減りすぎないようにしたいものですね。
そこで妊娠中のダイエットを検討している人もいるかもしれませんよね。では、妊娠中のダイエットはそもそも胎児に影響があるのでしょうか。また、あるのであれば、どういったダイエット、体重管理を実践していけばいいのでしょうか。これらのことについてみていきましょう。
妊娠中のダイエットと胎児への影響
妊娠中の体重管理はとても重要です。胎児の成長と共に体重は増えていくのが自然ですが、急激な体重増加は体に負担をかけ、胎児にも影響を与えてしまうことがあります。
そのため、体重が増えすぎている人は医師からダイエット法についての指示があると思います。しかし、ダイエット法を自己流でやってしまったり、体に無理をかけてしまうようなダイエットをしてしまうと、胎児に悪い影響を与えてしまうことがあります。
具体的には以下の2つの影響を与えてしまう可能性があります。
1:胎児の発育に影響が出る
栄養の偏りや不足を招くようなダイエットをしてしまうと、胎児へ送られる栄養に偏りが起こります。その結果、胎児の成長に大きな影響を与えてしまうことがあります。低体重児、難産、最悪の場合、流産といったケースもあります。
2:子供の将来の病気を招く
最近の研究では妊娠期の母体の状態が、子供の将来の病気リスクに大きな影響を与えることがわかってきているようです。
英国の環境疫学の権威であるデビッド・バーカー博士は1980年代に、「胎児期に低栄養状態であることが成人期における心血管障害のリスク因子である」とする「バーカー仮説(Barker仮説)」を発表しました。胎児が低栄養状態にさらされると、胎児がその環境に適応しようとする結果、筋肉量の減少、腎臓のネフロン数の減少、膵臓のβ細胞の減少などが起こります。
これらの変化は生まれた後も永続的に続くため、生まれた児が成人になってからの高血圧・糖尿病・心筋梗塞などの発症リスクを増大させる、という説です。引用:母体の栄養欠乏と、胎児の先天奇形・発育不良との関係|クリニック・ハイジーア http://www.clinic-hygeia.jp/sterility/post_12.html
子供の発育や出産時だけではなく、その後の健康にも大きな影響を与えてしまう。妊娠中はそれほど重要な期間であるというわけです。過度なダイエットはとにかく控えるようにしましょう。
妊娠中のダイエットと適正体重
体型や体質に合わない適当な体重を目標にしてダイエットをしてしまうと、体調不良の原因になります。これは妊娠中にもいえることです。自分の適正体重を知り、それに近づけていくことが妊娠中のダイエットのポイントです。
その指標になるのがBMIです。BMIは体重(kg)を身長(m)で2回割った数値です。この数値によって妊娠中の適正体重を知ることができます。具体的には以下の数値です。
- BMI:18未満:理想体重の増加10-12kg
- BMI:18-24:理想体重の増加7-10kg
- BMI:25以上:理想体重の増加5-7kg
参考:にんぷの体重管理|プレママタウン https://www.premama.jp/tokushu/body/001/
例えば身長が155cm、50kgの妊婦さんの場合、
50(kg) ÷ 1,55(m) ÷ 1.55(m) = 20.8
となります。この場合、妊娠中の体重増加は7-10kg程度が望ましいでしょう。
まずは自身のBMIを知り、そこからどのぐらいまで体重が増えていいのか。もしくは、増えすぎていればどのぐらいまで減量すればいいのかを計算してみましょう。
妊娠中のダイエットのポイントは食事
では、どうやって妊娠中にダイエットをしていけばいいのか。それは食事の習慣をきちんと見直すということ。体への負担を少なくしつつ、自然に体重を減らしていくということがポイントです。具体的には以下の方法をしていくことでダイエット効果が期待できます。
栄養価の高いものを食べる
スーパーに行くと手軽に食べることができる加工食品がたくさん並んでいます。しかし、こういった食品は高カロリー低栄養であることがあります。また、塩分や調味料で味付けが濃く、高血圧の原因になることがあります。
母子の健康ためにはなるべく加工がされていない、栄養価が高いものを摂取することが望ましいでしょう。具体的には以下の食材がオススメです。
緑黄色野菜
緑や黄色、赤色といった色の濃い緑黄色野菜はビタミンや食物繊維などの栄養が豊富に含まれています。妊娠中に起こる体の負担を減らしてくれる効果が期待できます。もちろん、カロリーも少ないので自然なカロリーカットでダイエットすることができるでしょう。ほうれん草、ピーマン、人参などの野菜がオススメです。
発酵食品
発酵食品には乳酸菌や酵母菌といった腸内環境を良くする菌が存在します。便秘を解消し、デトックス効果を促進するので、ダイエット効果も期待できます。お味噌やヨーグルト、納豆などの発酵食品を積極的に摂るようにしてくださいね。
玄米
玄米は白米に比べてカロリーが低く、なおかつ血糖値を緩やかにあげるという効果があります。さらにビタミンや食物繊維が多く、ダイエット効果が期待できます。
ただ、玄米に含まれるフィチン酸という成分がビタミンを排出しやすい性質があります。発芽させると分解されますので、4〜8時間ほど水につけて発芽させるようにしましょう。
食べ方を意識する
食事をするとき、食べ物を早く食べてしまう。これは体に負担をかける食べ方です。食べ物がよく咀嚼されず、消化器官に負担をかけてしまうのですね。また、炭水化物を取ったときは急激な血糖値の上昇を招きます。
妊娠中の体への負担を減らすためには、ゆっくりとご飯を食べることが大切です。よく噛んで時間をかけて食べる。これを意識すれば血糖値の上昇を抑え、太りにくい体を作ることができます。体に負担のかかる食べ方には気をつけるようにしてくださいね。妊娠中のダイエットと運動
ダイエットのポイントは食事にあるといいましたが、運動に関しても気を配ることも大切です。もちろん、ランニングといった激しい運動はできないですよね。運動の具体的な内容として散歩やウォーキング、マタニティヨガがオススメです。
運動はカロリー消費だけではなく、血行促進効果や筋力向上効果などがあります。体のむくみをとったり、出産時の負担を減らすといったことが期待できるのですね。
辛いときは無理をする必要はありませんが、体が動かせるようであれば運動をするようにしましょう。天気が良ければ気分転換にもなりますから、ストレスをうまく発散するようにしてくださいね。
妊娠中のダイエットとおやつ
妊娠中の食生活の管理は、大変な事も多いと思います。
とはいえ、大好きなものをお腹いっぱい食べられない生活が続き、我慢し続けると、ストレスが溜まってしまい、いつか爆発した時に、暴飲暴食に走ってしまう、というケースがあるかもしれません。
こちらではは極力カロリーが低めのダイエット中でも適量を守れば食べられるおやつをいくつか紹介したいと思います。
ナッツ類
アーモンドやくるみといったナッツ類にはビタミンEが豊富に含まれています。これは女性ホルモンの分泌を促進し、胎児の育成環境を良くする効果があります。また、歯ごたえがありますから、少量でもきちんと満足することができます。
おからを使ったお菓子
おからを使ったお菓子にはクッキーなんかあります。
おからは大豆から作られているため、良質のタンパク質が含まれていて、胎児の発育を促進してくれるでしょう。また、普通のクッキーと比べてもカロリーが控えめなので、ダイエット中のお菓子としてもオススメです。
野菜を原料にしたお菓子
よく人参やかぼちゃ、さつまいもを原料としたお菓子を見かけますよね。このようなお菓子は野菜に含まれるビタミンや食物繊維といった栄養素をそのまま摂取することができるのでオススメです。
妊娠中は胎児第一!赤ちゃんを最優先に考えたダイエットを
妊娠さんにとって重要なことは胎児の健やかな成長と、安全な出産をすることです。太った身体をみて不安になってしまう事もありますが、過度なダイエットは胎児にも影響を与えることがありますから、体の変化は緩やかにすることが重要だと考えます。
そのためにできることが食事との付き合い方を見直したり、運動を取り入れるといった生活習慣の改善です。太ったからと言って急に不安にならずに、お医者さんと相談して自分にあったダイエットを取り入れて行って下さいね。