ダイエットのために運動をしていても、脂肪の燃焼がうまく行われていなければ意味がありません。「運動しているのに、なかなか痩せないな・・・」、そう感じている人は、運動を見直した方が良いかもしれません。
また、食事面でも脂肪燃焼を左右させることもあるのですよ。ここでは、効率的に脂肪燃焼させる運動や、食事のときに気を付けたいポイントをご紹介します。
運動の種類について
体を動かすことであれば「運動」とひとくくりにされますが、この運動には2種類あることを知っていますか?
それは、「有酸素運動」と「無酸素運動」です。同じ運動でも、この2つでは「運動をするとき何をエネルギーとするか」で違いがあります。
脂肪をエネルギーとする「有酸素運動」
有酸素運動については、厚生労働省が提供している健康情報サイト「e-ヘルスネット」で次のように説明されています。
酸素を使い体内の糖質・脂質をエネルギー源とする、筋肉への負荷が比較的軽い運動。
長時間かけて酸素をゆっくり取りこみ(=有酸素)、体内の脂肪を中心にエネルギーとして消費することで、脂肪燃焼を図る運動とされています。負荷もそれほどないことから、運動の強度も大きくありません。ウォーキング、ジョギング、水泳などが有酸素運動に該当します。
ブドウ糖(グルコース)をエネルギーとする「無酸素運動」
無酸素運動については、「e-ヘルスネット」では次のように説明されています。
短い時間に大きな力を発揮する短距離走やレジスタンス運動などの強度の高い運動。
短時間で行い、酸素を使わずに(=無酸素)体内のブドウ糖(グルコース)をエネルギーとして消費することで代謝をアップさせ、かつ、筋肉を鍛える効果がある運動とされています。
負荷もあり、より多くの力を必要とします。筋トレなどが無酸素運動に該当します。
脂肪燃焼に適しているのは有酸素運動
有酸素運動と無酸素運動におけるエネルギー源の違いによって明らかですが、脂肪燃焼に適しているのは有酸素運動といえます。
また、有酸素運動により脂肪が燃焼されることで、体内の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らすことができるようです。
今まで何気なく実践していた運動は、どちらの運動だったでしょうか?運動でダイエット効果を引き出したい場合はどちらの運動も効果的ですが、まずは肥満のもとになる脂肪を落とすことが大切となります。
有酸素運動も無酸素運動になる?!
有酸素運動と無酸素運動の違いを見てきましたが、「e-ヘルスネット」の説明の中で有酸素運動も「体内の糖質をエネルギー源とする」とあり、「あれ?」と感じた人もいるかもしれませんね。
その通りで、有酸素運動はブドウ糖もエネルギー源として使われるのです。それは、有酸素運動をする「時間」と「運動強度」に関わってきます。
たとえば、有酸素運動とされるジョギングの場合、走るスピードを速めて息切れするほどの負荷をかけてしまうと、酸素を取りこめない状態になるので無酸素運動となってしまいます。
つまり、運動強度が上がると糖質がメインのエネルギー源として消費されるようになるわけです。
これだと、脂肪燃焼するために有酸素運動をしているのに、効果が得られにくくなってしまいますね。有酸素運動をするときは、この点を意識したいところです。
「カロリー消費」と「脂肪燃焼」は違う?
「カロリー消費」と「脂肪燃焼」は同じことと認識している人が多いと思いますが、実際はイコールではありません。
カロリーというのは、エネルギーの単位のことです。
食べものから摂取したカロリーを消費するには、そのカロリーを消費する分の運動をする必要があります。こうすることで体内に脂肪が残らず、燃焼できたということになります。
健康関連機器を開発しているタニタ社の健康情報サイト「健康のつくりかた」では、たとえば脂肪を1kg消費するとどのくらいのカロリーが必要になるかを、次のように説明しています。
体内に貯蔵されている脂肪1kg(1,000g)を消費するにはどれだけのカロリーが必要になるのでしょうか?
脂肪1gは9kcalなので、1kgの脂肪を消費するには9000kcalのカロリーが必要かといえばそうではありません。人間の脂肪は「脂肪細胞」として蓄えられているので、全てが純粋な脂肪というわけではありません。脂肪細胞の約8割は脂質(あぶらの塊)ですが、残り2割ほどは水分や細胞を形成するさまざまな物質で構成されています。
これを踏まえて計算すると脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は、9kcal×1000g×80%=約7200kcal 程になります。
このように、カロリー消費と脂肪燃焼はイコールではないことが分かりますね。
運動をする時間と運動強度によって消費できるカロリーと脂肪量は異なるため、ダイエットをするときは、こうした知識も踏まえつつ運動に取り組む必要があるといえます。
効率良く脂肪燃焼する運動の方法は?
では、有酸素運動によって効率良く脂肪を燃焼させるには、どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。
脂肪燃焼のための運動のポイント①:運動強度を上げ過ぎない
前述した通り、有酸素運動の強度を上げてしまうと無酸素運動になってしまいます。これだと脂肪をうまく燃焼できないため、酸素を取りこめる程度の速さで行うなど、負荷をかけないようにしましょう。
20分以上運動する
有酸素運動による脂肪燃焼は、運動して20分以上経ってから行われるそうです。同じ有酸素運動でも20分以内では脂肪燃焼効果が表れない可能性があるので、運動の長さを意識しましょう。自分が20分以上できそうな有酸素運動を選ぶといいですね。
もしまとまった時間がとれない場合は、1回の運動を最低10分は行うようにして、時間ができたときにまた10分と分けて行っても効果的です。忙しい人におすすめですが、運動が苦手で20分以上は億劫と感じる人にも最適です。ストレスなく運動できるでしょう。
脂肪燃焼のための運動のポイント②:週2〜3日運動する
運動は毎日行ったほうがいいのでは?と思いますよね。しかし、有酸素運動は週2〜3日行えば、脂肪燃焼効果が十分働くといわれています。この2〜3日間で最低でも20分、10分×2回でも行えば良いということになります。
運動の長さも日数も小分けにすることがポイントですね。
脂肪燃焼のための運動のポイント③:有酸素運動前に筋トレをする
脂肪を燃焼したいからといって、有酸素運動ばかりするのは効果的なダイエット方法ではありません。無酸素運動と併せてバランス良く行うことが、ダイエット成功へのカギとなります。
無酸素運動として取り入れると良いとされるのが「筋トレ」です。有酸素運動は長い時間を費やして脂肪を燃焼するため、その脂肪を燃やすための力が必要となります。筋肉をつければこの力を養うことができるので、筋トレをすることが推奨されているのです。
ただこの筋トレもいつ行っていいわけではなく、有酸素運動前に行うと良いといわれています。脂肪を効率的に燃焼させるには、糖質を先に消費することがポイントになるようです。
このため、ブドウ糖をエネルギー源として消費する筋トレを先に行い、その後に有酸素運動をすると良い効率的に脂肪燃焼できるということになります。
筋トレの種類はいろいろありますが、スクワットや体幹トレーニングなど短時間でできるものを選ぶと良いでしょう。
ただ、筋トレをする日の間隔は空けたほうが良いそうです。というのも、一度使った筋肉は最低1日休ませた方が、筋肉が鍛えられやすいためです。筋肉痛にもなる可能性もありますし、その状態で運動を行うのは逆効果のようです。
脂肪燃焼におすすめの運動
有酸素運動はいろいろな種類がありますが、実践するのであれば効率よく脂肪燃焼でき、自分に合った運動を選びたいですよね。そこでここでは、脂肪燃焼におすすめの運動をご紹介したいと思います。
併せて、その運動で消費できるカロリーも載せます。消費カロリーは「メッツ」という運動強度を使って算出でき、計算式は次の通りです。
エネルギー消費量(kcal)=1.05×エクササイズ(メッツ・時)×体重(kg)
最近では、計算を簡略化するために「1.05」を掛けずに計算する方法も広がっています。
消費エネルギーの計算式
エネルギー消費量(kcal)=メッツ×時間(h)×体重(kg)
脂肪燃焼におすすめの運動①:ウォーキング
運動の習慣がなかったり、運動が苦手だったりする人におすすめしたいのがウォーキングです。運動強度も高くなく、誰でも気軽に始められるところが魅力です。
ウォーキングのポイントは、息が上がり過ぎない程度のスピードを保つことです。
もし友人や家族と一緒にウォーキングをする場合は、お互いに会話ができる程度のスピードで歩きましょう。
姿勢良く歩くことも大切です。さらに一歩の幅を大きくし、同時に腕も振って歩くと、より脂肪を燃焼させることができます。
ウォーキング30分で消費できるカロリーは次のとおりです。
速さ | 時速4km | 時速6km |
---|---|---|
運動の強さ | 3.0メッツ | 4.0メッツ |
時間 | 30分 | 30分 |
体重45kg | 67.5kcal | 90kcal |
体重50kg | 75kcal | 100kcal |
体重55kg | 82.5kcal | 110kcal |
体重60kg | 90kcal | 120kcal |
脂肪燃焼におすすめの運動②:ジョギング
ウォーキングに慣れてきたり、運動の習慣があったりする人は、ジョギングもおすすめです。走ることで爽快感を味わえるので、ストレス解消効果もあります。
ジョギングもスピードを上げ過ぎないことがポイントです。また、ウォーキングより少し負荷がかかるため、こまめに水分補給をしましょう。
ジョギング30分で消費できるカロリーは次のとおりです。
速さ | ジョギングと歩行 | ジョギング全般 |
---|---|---|
運動の強さ | 6.0メッツ | 7.0メッツ |
時間 | 30分 | 30分 |
体重45kg | 135kcal | 157.5kcal |
体重50kg | 150kcal | 175kcal |
体重55kg | 165kcal | 192.5kcal |
体重60kg | 180kcal | 210kcal |
脂肪燃焼におすすめの運動③:水泳・アクアビクス
水泳は水の中で体を動かすので、陸上よりも抵抗があり体力が必要になりますが、これが脂肪を燃焼させるのに抜群の効果を発揮します。また、泳いだ後の気持ち良さもあるので、ストレス解消にもなります。
もし泳ぐのが苦手な場合は、水中ウォーキングをするとよいでしょう。これも立派な有酸素運動になり、脂肪を燃焼させることができます。
水泳30分で消費できるカロリーは次のとおりです(運動強度:5.8)。
種目 | ゆっくりクロール | ゆっくり平泳ぎ | 水中ウォーキング | アクアビクス |
---|---|---|---|---|
運動の強さ | 5.8メッツ | 5.3メッツ | 4.5メッツ | 5.5メッツ |
時間 | 30分 | 30分 | 30分 | 30分 |
体重45kg | 130.5kcal | 119.3kcal | 101.3kcal | 123.8kcal |
体重50kg | 145kcal | 132.5kcal | 112.5kcal | 137.5kcal |
体重55kg | 159.5kcal | 145.8kcal | 123.8kcal | 151.3kcal |
体重60kg | 174kcal | 159kcal | 135kcal | 165kcal |
脂肪燃焼におすすめの運動④:サイクリング
サイクリングも有酸素運動です。サイクリングをする場合は、できればそれに合った自転車を使うことが望ましいですが、普段通勤や買い物などで使っている自転車がある場合は、それを活用することができます。
自分の自転車を使う場合は、凹凸があまりない道を選んで走ることをおすすめします。
サイクリング30分で消費できるカロリーは次のとおりです。
速さ | 時速16.1km未満 | 時速16.1〜19.2km | 時速19.3〜22.4km | 時速22.5〜25.6km |
---|---|---|---|---|
運動の強さ | 4.0メッツ | 6.8メッツ | 8.0メッツ | 10.0メッツ |
時間 | 30分 | 30分 | 30分 | 30分 |
体重45kg | 90kcal | 153kcal | 180kcal | 225kcal |
体重50kg | 100kcal | 170kcal | 200kcal | 250kcal |
体重55kg | 110kcal | 187kcal | 220kcal | 275kcal |
体重60kg | 120kcal | 204kcal | 240kcal | 300kcal |
脂肪燃焼におすすめの運動⑤:踏み台昇降・階段の上り降り
外に出て運動する時間がなかったり、運動が苦手でちょっと面倒臭いなと感じがちな人には、踏み台昇降や階段の上り降りがおすすめです。踏み台や階段を上り降りするだけのシンプルな運動なのですが、立派な有酸素運動です。
踏み台昇降については自宅で気軽にできるので、あまりストレスを感じることなく運動ができてしまいます。そして、通勤や外出する際にエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使うようにすれば立派な運動になります。
階段の上り降り30分で消費できるカロリーは次のとおりです。
種類 | 階段の上り降り |
---|---|
運動の強さ | 3.5メッツ |
時間 | 30分 |
体重45kg | 78.8kcal |
体重50kg | 87.5kcal |
体重55kg | 96.3kcal |
体重60kg | 105kcal |
参照:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」、国立健康・栄養研究所「改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』」から作図
運動前後のストレッチは必ずやろう
脂肪燃焼効果のある有酸素運動を長時間持続させるためには、ストレッチなどの準備運動を必ず行うようにしましょう。ストレッチは体を目覚めさせ、かつ、筋肉をほぐして代謝アップ効果もある他、ケガ防止にも役立ちます。
また、運動後もストレッチすることが大切です。疲労回復効果の他、血行をより全身に行き渡らせることもできるためです。この運動前後のストレッチをするかしないかで、代謝アップ具合も変わってくるでしょう。
運動前後における食事のポイントとは?
効率よく脂肪を燃焼させるには、食事面でも取り組むと良いことや気を付けたほうが良いことがあります。食事面で何か欠けていることがあると、「いくら運動をしていてもなかなkダイエットに成功しない!」なんてことも出てきます。ここでは、4つのポイントをご紹介したいと思います。
運動前後における食事のポイント1.<運動前>空腹を避ける
空腹の状態で運動すると、体内にある脂肪がエネルギー源として消費されますが、時間が経つにつれて運動自体ができなくなります。これを避けるためにも、ある程度食事を摂ってから運動するようにしましょう。
また食事は、低GIの食材を多く取り入れた料理を食べるようにしましょう。ダイエットの敵である血糖値の上昇を抑えられることになります。
そして、運動は食後30分以上経過してから始めるようにしましょう。それより先に行ってしまうと、身体に負担がかかるので注意が必要です。
運動前後における食事のポイント2.<運動前>コーヒーを飲む
朝食の目覚めに、仕事中の一休みに1杯コーヒーを飲むこともありますよね。じつはコーヒーには脂肪燃焼効果があるといわれています。これは「クロロゲン酸」という成分の働きが関係するそうです。
ただ、いつ飲んで良いというのではありません。運動する前に飲むことで、この脂肪燃焼効果が効率よく働くそうです。より脂肪燃焼効果をもたらしたい人は、コーヒーを飲んでから運動するのもいいかもしれません。飲むコーヒーは、糖分のないブラックコーヒーにすることがポイントです。
運動前後における食事のポイント3.<運動後>運動後30分以内は消化の良いものを食べる
実践する運動や長さにもよりますが、中には相当のエネルギーを消費することもあります。運動後30分くらいは筋肉が疲れている状態なので、何か口にするときは消化の良いものを食べるようにしましょう。たとえば、「ウイダーインゼリー」のような栄養補給ゼリーや野菜ジュースなどがおすすめです。
運動後1〜2時間経過したら、通常の食事をして問題ありません。ただ、その食事もダイエット向け食材を使った料理を食べると良いですね。たとえば、筋肉増強のサポートをするたんぱく質を含む鶏肉、野菜、疲労回復に効果的なクエン酸を含む梅干しなどがおすすめです。
運動後はお腹が空くのでがっつり食べてしまいそうになりますが、そうしてしまうと運動の意味がなくなってしまうので、注意しましょう。
運動前後における食事のポイント4.<運動後>プロテインを摂取する
運動によるダイエットをサポートする飲料として、プロテインがありますよね。プロテインはたんぱく質なので、運動後に飲むことをおすすめします。
プロテインには主に「ホエイプロテイン」と「ソイプロテイン」の2種類あり、目的に合わせて選ぶことができます。前者のホエイプロテインは動物性であり、牛乳に含まれています。運動後の疲れた筋肉を修復させる効果があるので、筋肉量を増やしたい人におすすめです。
一方ソイプロテインは植物性であり、大豆などに含まれています。血流改善効果や中性脂肪を減らす効果があり、体型をキープしつつ筋肉をつけたい人におすすめです。
自分に合った有酸素運動を見つけて、効率よく脂肪を燃やしましょう
いかがでしたか?運動で減量したい場合は、どの運動に脂肪燃焼効果があるのかを見極めて選ぶ必要があるのですね。
運動をする長さや食事面も意識することで、より効率的に脂肪燃焼できることもお分かりいただけたかと思います。長続きしそうな有酸素運動を見つけて、脂肪を燃やし、太り知らずな体を目指してみましょう!