「プロボクサー」という肩書きに、一度は心を動かされたことはありませんか?

リング上で戦う選手たちの姿を見て、「自分もあの世界に足を踏み入れてみたい」と思ったことがある方は少なくないでしょう。しかし同時に、「でも実際に試合で殴り合うのは怖い」「仕事や家族のことを考えると、怪我のリスクは取れない」そんな葛藤を抱えている方も多いはずです。

実は今、そんな悩みを持つ人たちの間で、ある選択肢が注目を集めています。それが「プロライセンスは取得するけれど、試合には出場しない」という道です。

「えっ、そんなことができるの?」「プロになったら必ず試合をしなければいけないんじゃないの?」そう思われる方もいるでしょう。確かに、プロボクサーと聞けば、リング上で激しく打ち合う姿を想像するのが一般的です。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

この記事では、「プロライセンスを取得したいけれど、試合はしたくない」という一見矛盾したように思える願望について、その実現可能性と意味について深く掘り下げていきます。そして、この選択が決して「ダメなこと」ではなく、むしろ新しい形のボクシングとの関わり方として価値があることをお伝えしたいと思います。

結論から言えば、試合をしなければならない義務はない

結論から申し上げますが、プロライセンスを取得しても試合しなければならない義務はありません。

ライセンスを発行しているJBCのプロボクサー新人テスト受験要項にもそのような記載はありませんし、元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男さんも、ご自身のYoutubeチャンネルで「ウチ(のジム)だったらライセンス取得だけでも構わない」という旨の発言をされています。

↓こちらの動画です

他のボクシングジムのホームページを確認してみても、「プロライセンス取得のみを目標にしていても問題ない」と明記しているところは多いです。

なので、取得だけして試合をしないでいても何らダメなことではないのです。

 

プロライセンス取得の真実:試合義務は存在しない

ダイエット?強くなりたい?キックボクシングは目的別でジムを選ぶべきという話

まず最初に、多くの方が抱いている誤解を解いておきましょう。

プロボクシングのライセンスを取得しても、試合をする義務は一切ありません。

これは推測や個人的な意見ではなく、れっきとした事実です。日本ボクシングコミッション(JBC)が発行するプロボクサー新人テスト受験要項を隅々まで確認しても、「ライセンス取得後は必ず試合に出場しなければならない」という記載は一切ありません。

さらに興味深いのは、元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男さんのような、ボクシング界のレジェンドたちも、この選択を支持していることです。渡嘉敷さんは自身のYouTubeチャンネルで、「ウチ(のジム)だったらライセンス取得だけでも構わない」と明言されています。世界チャンピオンになった方がこう言っているのですから、その説得力は計り知れません。

実際に、全国各地のボクシングジムのホームページを調査してみると、驚くべき事実が明らかになります。多くのジムが「プロライセンス取得のみを目標にしている方も歓迎」「試合出場は強制ではありません」といった文言を掲載しているのです。

なぜこのような選択肢が存在するのか

ここで疑問に思われるかもしれません。「なぜプロライセンスを取得して試合をしないという選択肢が認められているのか?」と。

その答えは、ボクシングという競技の持つ多面的な価値にあります。ボクシングは単なる格闘技ではありません。それは:

  • 自己鍛錬の究極形態:肉体と精神の両面を極限まで鍛え上げる
  • 目標達成の象徴:困難な目標を設定し、それを達成する経験
  • 人生の転機:新たな自分を発見し、人生観を変える機会
  • コミュニティへの参加:ボクシング界という特別な世界の一員になる

これらの価値は、実際に試合をするかどうかに関わらず、プロライセンス取得を目指す過程で十分に得られるものなのです。

プロライセンス取得者の実態

実際に、プロライセンスを取得しながら試合に出場していない人は、思っている以上に多く存在します。その理由は様々です:

  1. 記念として取得した人

    • 「人生の節目として何か大きなことを成し遂げたかった」
    • 「40歳の記念に挑戦した」
    • 「子供に誇れる何かを残したかった」
  2. 自己研鑽の一環として取得した人

    • 「究極のダイエット・肉体改造として」
    • 「精神力を鍛える手段として」
    • 「限界に挑戦する経験を求めて」
  3. ボクシング愛好家として取得した人

    • 「プロの世界を内側から理解したかった」
    • 「トレーナーになるための経験として」
    • 「ボクシングへの理解を深めるため」
  4. その他の理由で取得した人

    • 「履歴書に書ける特別な資格として」
    • 「話のネタとして」
    • 「自信をつけるため」

これらの人々に共通しているのは、「プロライセンス取得」という目標に向かって努力し、それを達成したという事実です。そして、その経験が彼らの人生に大きな影響を与えているということです。

 

プロライセンスがもたらす、あなたの人生への影響

では、実際にプロライセンスを取得することで、あなたの人生にどのような変化が訪れるのでしょうか。ここでは、その魅力的な側面について詳しく見ていきましょう。

1. 圧倒的な達成感と自信

プロボクシングのライセンスは、誰でも簡単に取得できるものではありません。それゆえに、取得した時の達成感は計り知れないものがあります。

想像してみてください。プロテストに合格し、JBCから正式なプロボクサーライセンスが手元に届いた瞬間を。それは単なるプラスチックのカードではありません。あなたの努力、汗、涙、そして諦めなかった証明書なのです。

この経験は、以下のような形であなたの人生に影響を与えます。

  • 自己肯定感の向上:「自分はやればできる人間だ」という確信
  • 挑戦への意欲:「プロライセンスが取れたなら、他のことも」という前向きな姿勢
  • ストレス耐性の向上:厳しい練習を乗り越えた経験が、日常のストレスを相対的に小さく感じさせる
  • 決断力の向上:瞬時の判断が求められるボクシングの経験が、仕事や日常生活での決断を迅速にする

2. 肉体の劇的な変化

プロライセンス取得を目指す過程で、あなたの肉体は見違えるように変化します。これは単なる「痩せる」「筋肉がつく」というレベルの話ではありません。

具体的な変化:

  • 体脂肪率の大幅な減少:プロボクサーの体脂肪率は一般的に10%以下。引き締まった身体は、ビーチやプールで注目の的に
  • 機能的な筋肉の獲得:見せかけだけでない、実用的な筋肉。階段の昇り降りから重い荷物の運搬まで、日常生活が楽になる
  • 姿勢の改善:ボクシングの基本姿勢が身につくことで、猫背が改善し、堂々とした立ち姿に
  • 柔軟性の向上:意外に思われるかもしれませんが、ボクシングには柔軟性も必要。身体が柔らかくなり、怪我のリスクも減少
  • 心肺機能の向上:3分間のラウンドを戦える体力は、日常生活で疲れ知らずの身体をもたらす

3. メンタルの強化

ボクシングは「心技体」の競技と言われます。技術や体力だけでなく、精神力が問われるのです。プロライセンス取得の過程で鍛えられるメンタルは、人生のあらゆる場面で武器となります。

メンタル面での成長:

  • 忍耐力:きつい練習を継続する中で培われる「諦めない心」
  • 集中力:ミット打ちやスパーリングで要求される高度な集中は、仕事や勉強にも活きる
  • プレッシャーへの対処:プロテストという大舞台を経験することで、他のプレッシャーが小さく感じられる
  • 自己管理能力:体重管理、練習スケジュール管理など、自己管理のプロフェッショナルに
  • 逆境への強さ:苦しい時こそ前に出るボクサーのメンタリティ

4. 特別なコミュニティへの参加

プロライセンスを取得することで、あなたは「プロボクサー」という特別なコミュニティの一員となります。これは想像以上に価値のあることです。

コミュニティがもたらすもの:

  • 尊敬の眼差し:「プロボクサー」という肩書きが持つ社会的インパクト
  • 新たな人脈:ジムの仲間、トレーナー、他のプロボクサーとの繋がり
  • 共通の話題:ボクシングという共通言語で繋がる仲間たち
  • 相互サポート:厳しい練習を共にした仲間は、人生の様々な場面で助け合う関係に

5. 人生の物語に加わる特別な一章

「私はプロボクサーのライセンスを持っています」

この一言が持つインパクトを想像してみてください。合コンで、ビジネスの場で、子供との会話で、この経験は必ず話題の中心となり、あなたを特別な存在として印象づけます。

しかも、それは単なる自慢話ではありません。努力、挑戦、達成という普遍的なテーマを含んだ、誰もが共感できる物語なのです。

 

プロライセンス取得への道のり

ここまで読んで、「プロライセンスを取得してみたい」という気持ちが芽生えてきた方もいるでしょう。しかし同時に、「でも、実際どれくらい大変なの?」という不安も感じているかもしれません。

ここでは、リアルな道のりについて、包み隠さずお伝えします。なぜなら、正しい情報を知った上で決断することが、成功への第一歩だからです。

練習期間と頻度

プロライセンス取得までの期間は、個人差が大きいですが、一般的には、

  • 完全初心者の場合:1年半〜3年
  • 他の格闘技経験者:6ヶ月〜1年半
  • 運動経験豊富な方:1年〜2年

練習頻度は週3〜5回が標準的です。仕事をしながら通う方が多いため、多くのジムでは夜間や早朝のクラスも用意されています。

練習内容の実際

プロライセンスを目指す練習は、段階的に進んでいきます。

初期段階(最初の3〜6ヶ月)

  • 基本的なフォームの習得
  • ロープワーク(縄跳び)での基礎体力作り
  • シャドーボクシング
  • サンドバッグ打ち
  • 簡単なミット打ち

中期段階(6ヶ月〜1年)

  • コンビネーションの習得
  • ディフェンス技術の向上
  • 条件付きスパーリング(マスボクシング)
  • 体力トレーニングの強化

後期段階(1年以降)

  • 実戦形式のスパーリング
  • プロテスト対策
  • メンタルトレーニング
  • 試合を想定した練習

必要な費用

プロライセンス取得にかかる費用も気になるところでしょう。

  • 月会費:8,000円〜15,000円(ジムによって異なる)
  • プロテスト受験料:約30,000円
  • 健康診断料:約10,000円
  • 練習用具:30,000円〜50,000円(グローブ、シューズ、練習着など)
  • 合計:年間15万円〜25万円程度

決して安くはありませんが、自己投資としては十分にリターンが期待できる金額です。

プロテストの内容

JBCのプロテストは以下の内容で構成されています。

  1. 筆記試験:ボクシングのルールや歴史に関する問題
  2. 実技試験
    • シャドーボクシング(2ラウンド)
    • ミット打ち(2ラウンド)
    • スパーリング(2ラウンド)
  3. 健康診断:脳波、心電図、血液検査など

合格率は近年上昇傾向にあり、しっかりと準備をした人なら70%以上の確率で合格できます。

 

今すぐ始められる、あなたの第一歩

ここまで読んで、少しでも「やってみたい」と思った方へ。その気持ちを大切にしてください。多くの人は「いつかやろう」と思いながら、結局行動に移さずに終わってしまいます。しかし、あなたは違います。この記事をここまで読んだということは、すでに第一歩を踏み出しているのです。

ステップ1:ジム選びのポイント

まず最初にすべきことは、自分に合ったボクシングジムを見つけることです。以下のポイントを参考にしてください。

良いジムの特徴:

  • プロライセンス取得のみでもOKと明記している
  • 見学や体験が可能
  • トレーナーが親身に相談に乗ってくれる
  • 通いやすい立地にある
  • 会員の年齢層が幅広い
  • 清潔で設備が整っている

避けるべきジムの特徴:

  • 「必ず試合に出なければならない」と言われる
  • 見学を断られる
  • 初心者に対して冷たい雰囲気
  • 設備が古く、不衛生

ステップ2:見学・体験の申し込み

気になるジムを2〜3つピックアップしたら、実際に見学や体験に行ってみましょう。多くのジムでは無料体験を実施しています。

見学・体験時のチェックポイント:

  • トレーナーの指導は丁寧か
  • 他の会員の雰囲気はどうか
  • 自分と同じような目標の人はいるか
  • 設備は充実しているか
  • 通いやすい時間帯に練習があるか

ステップ3:入会と目標設定

自分に合ったジムが見つかったら、いよいよ入会です。この時、トレーナーに「プロライセンス取得が目標」ということを明確に伝えましょう。

初期の目標設定例:

  • 1ヶ月目:週3回の練習を継続する
  • 3ヶ月目:基本的なフォームをマスターする
  • 6ヶ月目:3分間動き続けられる体力をつける
  • 1年目:マスボクシングができるレベルに到達する

ステップ4:継続のコツ

プロライセンス取得への道のりは決して楽ではありません。しかし、以下のコツを実践することで、継続しやすくなります:

  1. 小さな目標を設定する

    • 「今日はジャブを100発打つ」など、日々の小さな目標を持つ
  2. 仲間を作る

    • ジムで同じ目標を持つ仲間を見つけ、励まし合う
  3. 記録をつける

    • 練習日記をつけ、自分の成長を可視化する
  4. 楽しむ工夫をする

    • 好きな音楽を聴きながらのロープワークなど、楽しむ要素を加える
  5. 休息も大切にする

    • 週に1〜2日は完全休養日を設け、オーバートレーニングを避ける

ステップ5:周囲への伝え方

「ボクシングを始めた」と周囲に伝える時、反対や心配の声が上がることもあるでしょう。そんな時は:

家族への説明例: 「プロライセンス取得が目標で、実際の試合は考えていない。健康的に身体を鍛えながら、大きな目標に挑戦したい」

職場での説明例: 「新しい挑戦として始めました。体力もつきますし、ストレス解消にもなって、仕事のパフォーマンスも上がっています」

 

【まとめ】あなたの挑戦が持つ価値

「ボクシングのプロライセンスを取るだけ」は、決してダメなことではありません。むしろ、それは勇気ある選択であり、価値ある挑戦です。

試合をしないことで「逃げている」と思う必要もありません。あなたはあなたなりの形で、ボクシングという素晴らしいスポーツと向き合い、自分の限界に挑戦しているのです。

プロライセンスという目標に向かって努力する過程で、あなたは必ず変わります。肉体的にも、精神的にも、そして人生観においても。その変化は、あなたの人生にとってかけがえのない財産となるでしょう。

最後に、もう一度お伝えしたいことがあります。

「やってみたい」という気持ちを、大切にしてください。

その気持ちは、あなたの人生を変える可能性を秘めています。多くの人は、その気持ちを押し殺して、平凡な日常に埋もれていきます。しかし、あなたには違う選択肢があります。

今、この瞬間から、あなたの挑戦は始まっています。最初の一歩は、近くのボクシングジムを検索することかもしれません。あるいは、ボクシング経験のある知人に話を聞くことかもしれません。

どんな小さな一歩でも構いません。大切なのは、行動を起こすことです。

あなたがプロボクサーのライセンスを手にする日を、心から楽しみにしています。その時あなたは、「やってよかった」と必ず思うはずです。なぜなら、挑戦した人だけが味わえる特別な達成感と、新しい自分との出会いが、そこにはあるからです。

さあ、あなたの物語の新しい章を、今日から書き始めましょう。

プロボクシングライセンスという、特別な1ページを加えるために。