あなたのジムにも必ずいる!承認欲求モンスターの正体
格闘技ジムに通ったことがある人なら、必ず一度は遭遇したことがあるでしょう。
「昔はもっと強かったんだよ」
「君、そのパンチの撃ち方間違ってるよ」
「俺がこの業界にいた頃は…」
こんな言葉を連発し、新人に上から目線でアドバイスを押し付ける、あの「面倒くさいオジサン」の存在を。
彼らは格闘技ジムという限られた空間で、まるで自分が王様であるかのように振る舞います。実際の実力は置いておいて、とにかく目立ちたい、認められたい、尊敬されたいという承認欲求が異常に強く、その歪んだ欲求を満たすために周囲の人々を巻き込んでいくのです。
しかし、こうした「教えたがりおじさん」や「イキリおじさん」たちの末路は、決して彼らが思い描いているような華々しいものではありません。むしろ、時間が経つにつれて周囲から疎まれ、最終的には孤立してしまうという悲惨な結末が待っているのが現実です。
今回は、実際に格闘技ジムで目撃した「面倒くさいオジサン」の生態と、その後の顛末について詳しくお話ししたいと思います。この記事を読めば、あなたも同じような失敗を避けることができるでしょうし、もしかすると今現在あなたのジムにいる「あの人」の行動パターンが理解できるかもしれません。
格闘技ジムに潜む承認欲求モンスター「教えたがりおじさん」の生態系
面倒くさいオジサンとの衝撃的な出会い
私がそのオジサン(以下、Aさんとします)と出会ったのは、今から7年ほど前のことでした。当時の私は既にキックボクシングを3年ほど経験していましたが、新しい刺激を求めてジムを移籍した先で、運命的ともいえるこの出会いが待っていたのです。
人見知りの私が一人で黙々と練習していると、どこからともなく現れたAさんが近づいてきました。「最初入ったの?」「格闘技は何かやってたの?」と、まるで面接官のような口調で質問を浴びせかけてきたのが、全ての始まりでした。
Aさんは自分について饒舌に語り始めました。ジム創設から間もなくして入会したベテラン会員で、少なくとも7~8年は格闘技を続けているという話でした。しかし、見た目は決してイケメンではなく、どこにでもいそうな中年の小太りなサラリーマンといった風貌でした。当時30代半ばということでしたが、どこか陰を感じさせる独特の雰囲気を纏い、ゆったりとした口調で近づいてくる姿は、正直言って少し不気味でした。
経験年数と実力の致命的なギャップ
Aさんの格闘技歴は確かに長いものでした。しかし、実際の実力となると話は全く別でした。シャドーボクシングからマススパーリングまで、一連の練習を観察してみても、7~8年という経験に見合うだけの技術や身体能力が備わっているとは到底思えませんでした。
実際に何度もマススパーリングで対戦する機会がありましたが、格闘技歴3年の私でさえ、簡単にパンチやキックを当てることができました。ディフェンスは穴だらけ、攻撃のタイミングは読みやすく、フットワークも重い。客観的に見て、初心者とそれほど変わらないレベルだったのです。
しかし、ここからがAさんの真の恐ろしさでした。自分の実力不足を認めるどころか、逆に新人会員に対して積極的に指導を始めるようになったのです。
新規会員を狙い撃ちする謎のレクチャー攻撃
Aさんには決まったパターンがありました。新しく入会してきた会員を見つけると、まるでハイエナが獲物を見つけたかのように近づいていき、勝手にレクチャーを始めるのです。
「あそこではもう少し距離感を測ってもいいね」 「コンビネーションはキックで終わらせよう」
「その構えだと隙が大きいから、もう少し脇を締めて」
一見すると親切な先輩のアドバイスのように聞こえますが、実際には的外れで役に立たないものばかりでした。しかし、格闘技を始めたばかりの新人会員は、そんなことは分からずに「なるほど…」と素直に聞き入ってしまいます。
この光景を見ていると、本当に可哀想になりました。間違った指導を受けることで、せっかく正しい技術を身につけようとしている新人の成長を阻害してしまうからです。しかし、Aさんにとってはそんなことはどうでもよく、ただ「教えている自分」に酔いしれることが重要だったのです。
毎回繰り返される「久しぶりだから調子が出ない」症候群
Aさんの練習頻度は週1回程度と、決して熱心とは言えませんでした。そして毎回、判で押したように同じセリフを口にするのです。
「仕事が続きでようやく来れたんだけど、久しぶりで身体が思うように動かない」
おそらく本人としては、「いやいや、そんなこと言いながらもしっかり動けてますよ!」という返しを期待していたのでしょう。しかし、普段から動けていないことは誰の目にも明らかだったため、周囲の人々は「そうですよね~…」と曖昧な作り笑顔で対応するしかありませんでした。
さらに問題だったのは、練習に来ない理由を仕事のせいにしていることでした。しかし実際には、キャバクラなどで遊び歩いていることは他の会員の間では周知の事実でした。この矛盾に気づいていないのは、当のAさんだけだったのです。
歪んだキャバクラ「イキリおじさん」。痛すぎる・・・。
キャバクラでの虚勢とイキリ行為の実態
Aさんの承認欲求は、ジムの外でも発揮されていました。特にキャバクラでの行動は、聞いているだけで恥ずかしくなるようなものでした。
これは又聞きの情報なので確実ではありませんが、どうやら彼はキャバクラで女性たちに格闘技をやっていることを頻繁に自慢していたようです。しかも、自分の実力を大幅に誇張して話していたとのことでした。
「俺は格闘技をやっているから強いんだ」
「今度試合に出る予定なんだ」(実際には出場経験なし) 「ジムでは皆から頼られる存在なんだ」
こうした虚勢を張るだけでなく、格闘技関連のグッズ(Tシャツなど)を女性たちにプレゼントしていたという話も聞きました。決して高給取りではなかったはずのAさんが、そんな余裕資金をどこから捻出していたのかは今でも謎です。
陰口と愚痴が招いた信頼失墜
さらに問題だったのは、Aさんがキャバクラでジムの会長や他の会員に対する悪口や愚痴をこぼしていたことです。酒の席とはいえ、お世話になっているジムや仲間の悪口を言うなんて、人としてどうかと思います。
しかし、皮肉なことに、一緒にキャバクラに行っていた人(同じくジムの会員)によって、これらの発言は全て筒抜けになってしまいました。この事実が明るみに出た時、Aさんに対するジム内での信頼は完全に地に落ちました。
承認欲求モンスターの心理メカニズム
なぜAさんのような人が生まれてしまうのでしょうか。心理学的な観点から分析すると、いくつかの要因が考えられます。
まず、現実の自分と理想の自分とのギャップが大きすぎることが挙げられます。Aさんは頭の中では「格闘技が強くて周囲から尊敬される存在」という理想の自分を思い描いていましたが、現実の実力はそれに全く追いついていませんでした。
この認知的不協和を解決するために、現実を受け入れるのではなく、周囲の環境や相手を変えようとしてしまうのです。新人に指導することで「教える立場の自分」を演出し、キャバクラで虚勢を張ることで「強い自分」を演じる。全ては現実逃避の一種なのです。
格闘技ジムという特殊な環境が生み出す歪み
格闘技ジムは、他のスポーツクラブとは異なる特殊な環境です。「強さ」という明確なヒエラルキーが存在し、実力のある人が自然と尊敬される構造になっています。
この環境において、実力が伴わないまま長期間在籍している人は、複雑な心境になりがちです。本来であれば謙虚に練習を続けるべきなのですが、プライドが邪魔をして素直になれない。その結果、歪んだ形で承認欲求を満たそうとしてしまうのです。
面倒くさいオジサンが辿る悲惨な末路
ジム退会という名の逃避行動
そんなAさんでしたが、ある日突然「仕事の都合で」ジムを退会することになりました。表向きの理由は仕事でしたが、実際には周囲からの視線に耐えられなくなったのが本当の理由だったのではないでしょうか。
その頃のAさんは週1回どころか、ほとんどジムに顔を出さなくなっていました。古株の会員以外は彼の存在すら知らない状態でしたが、それでも相変わらずグイグイと新人に話しかける姿を見て、「誰だろうこの人…?」と戸惑う新人会員の姿が印象的でした。
退会後も続く場違いな参加行動
普通であれば退会すればそれで終わりのはずですが、Aさんの行動はここからが本番でした。なんと退会後も、ジムの忘年会などのイベントにはしれっと参加し続けていたのです。
この行動には、さすがに古株の会員たちも驚きを隠せませんでした。もはやジムとは何の関係もないのに、なぜイベントに参加するのか。おそらく、まだ自分がジムのコミュニティの一員であるという錯覚から抜け出せなかったのでしょう。
ダイエット目的が完全に逆効果に
さらに皮肉だったのは、Aさんが格闘技を始めた当初の目的でした。彼は「ダイエットのため」に格闘技を始めたと言っていましたが、入会時と退会時を比較すると、明らかに体重が増加し、見事にサイズアップしていました。
何年もかけてジムに通い、それなりの会費を支払い続けた結果がこれでは、一体何のために通っていたのか分からなくなってしまいます。しかし、これもAさんの本当の目的が「痩せること」ではなく「承認されること」だったことを考えれば、納得がいく結果なのかもしれません。
孤立という最終的な帰結
Aさんの物語の最終章は孤立でした。ジムを退会し、かつての仲間からも距離を置かれ、最終的には誰からも相手にされなくなってしまったのです。
承認欲求を満たそうとして取った一連の行動が、結果的に自分自身の居場所を失わせてしまった。これほど皮肉で悲しい結末はないでしょう。
あなたが同じ道を辿らないための具体的な行動指針
自己認識の重要性を理解しよう
まず最も重要なのは、自分自身を客観視する能力を養うことです。格闘技においても人生においても、現実の自分と理想の自分とのギャップを正しく認識することが成長の第一歩となります。
具体的には、以下のような方法で自己認識を深めることができます:
練習動画の撮影と分析
自分の練習風景を動画で撮影し、後から客観的に分析してみましょう。思っていたより動きが悪い、フォームが崩れている、タイミングがずれているなど、様々な発見があるはずです。
信頼できる仲間からのフィードバック
長期間ジムに通っている信頼できる先輩や同期に、率直な意見を求めてみましょう。ただし、お世辞ではなく建設的なアドバイスをくれる人を選ぶことが重要です。
定期的な実力チェック
試合出場やスパーリング大会への参加など、自分の実力を客観的に測れる機会を積極的に作りましょう。他流試合での経験は、井の中の蛙状態から抜け出すのに非常に有効です。
承認欲求との健全な付き合い方を学ぼう
承認欲求自体は決して悪いものではありません。問題は、それが歪んだ形で表出してしまうことです。健全な承認欲求の満たし方を学ぶことで、Aさんのような失敗を避けることができます。
実力に基づいた承認を求める
承認されたいのであれば、まず実力を身につけることが最優先です。技術の向上、体力の強化、試合での結果など、誰もが認めざるを得ない実績を積み重ねましょう。
教える側に回る前の準備
新人に指導したいという気持ちは理解できますが、その前に自分自身が指導できるだけの実力と知識を身につけているかを冷静に判断しましょう。指導者として認められるには、相応の準備が必要です。
承認の質を重視する
キャバクラでちやほやされることと、格闘技仲間から尊敬されることは全く次元の違う話です。本当に価値のある承認とは何かを考え、質の高い人間関係の中で得られる承認を大切にしましょう。
ジムでの適切な行動規範を身につけよう
格闘技ジムという特殊な環境では、一般的なマナーに加えて、格闘技特有のエチケットや暗黙のルールが存在します。これらを理解し、実践することで、周囲から信頼される存在になることができます。
新人への接し方
新人に声をかける際は、相手が困っている時や助けを求めている時に限定しましょう。一方的にアドバイスを押し付けるのではなく、相手のペースや理解度に合わせたコミュニケーションを心がけてください。
練習への取り組み方
言い訳をせず、コンスタントにジムに通うことが基本です。「久しぶりだから」「忙しくて」といった言い訳は、聞いている方も困ってしまいます。来れる時に全力で取り組む姿勢を見せましょう。
ジム外での行動
ジムでの出来事や人間関係について、外部で軽々しく話すのは控えましょう。特に悪口や愚痴は、必ず本人の耳に入ると考えておいた方が良いでしょう。
継続的な成長マインドセットを構築しよう
Aさんの失敗の根本原因は、成長を止めてしまったことにあります。長期間ジムに通っているという事実に安住し、継続的な向上を怠ってしまったのです。
目標設定の重要性
明確な目標を設定し、それに向けて継続的に努力することが重要です。技術的な目標、体力的な目標、試合での目標など、様々な角度から目標を設定しましょう。
学習意欲の維持
格闘技は奥が深く、学ぶべきことが無限にあります。「もう十分知っている」と思った瞬間から成長は止まってしまいます。常に学習者としての謙虚な姿勢を保ちましょう。
他者から学ぶ姿勢
年齢や経験年数に関係なく、優れた技術や考え方を持っている人からは積極的に学びましょう。プライドが学習の妨げになってはいけません。
コミュニティへの貢献を考えよう
ジムは単なる練習場所ではなく、共通の目標を持った人々が集まるコミュニティです。そのコミュニティに対してどのような貢献ができるかを考えることで、自然と周囲からの信頼と尊敬を得ることができます。
後輩のサポート
適切な実力と指導力を身につけた上で、後輩の成長をサポートしましょう。ただし、押し付けがましくならないよう注意が必要です。
ジムの雰囲気作り
練習に真剣に取り組みつつも、和やかな雰囲気を作ることに貢献しましょう。ギスギスした環境では、誰も楽しく練習することができません。
イベントへの協力
ジムが主催する大会やイベントには、可能な限り協力しましょう。自分の利益だけでなく、コミュニティ全体のことを考えて行動することが重要です。
まとめ:面倒くさいオジサンにならないための最終チェックリスト
最後に、あなたが「面倒くさいオジサン」にならないための最終チェックリストをお渡しします。定期的にこのリストを確認し、自分の行動を見直してみてください。
□ 自分の実力を客観的に把握できているか
□ 新人への指導は求められた時だけに限定しているか
□ 練習に来ない理由を外部要因のせいにしていないか
□ ジム外で格闘技の自慢話ばかりしていないか
□ 他の会員の悪口や愚痴を言っていないか
□ 継続的に技術向上に努めているか
□ コミュニティへの貢献を意識しているか
□ 年齢や経験に関係なく学ぶ姿勢を保っているか
格闘技は素晴らしいスポーツですが、それを続ける人間性も同時に磨いていかなければ意味がありません。Aさんのような残念な結末を迎えないよう、常に謙虚さと向上心を忘れずに、格闘技ライフを楽しんでいきましょう。
あなたのジムライフが、周囲の人々にとっても、そして何より自分自身にとっても価値のあるものになることを心から願っています。今日からでも遅くありません。この記事を参考に、より良い格闘技仲間として成長していってください。