格闘技に詳しくない人でも『ムエタイ』は聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。

タイで発祥したムエタイは、日本の格闘技ジムでもタイ人のトレーナーが在籍していて、習えるところが年々増えています。

日本で有名なのは旧K-1であの魔裟斗を苦しめたブアカーオ・ポー・プラムックですが、世界にはまだまだブアカーオに勝るとも劣らないムエタイ選手が存在します。

今回はその中から、『ノンオー・ガイヤーンハーダオ』をご紹介したいと思います。

ノンオー・ガイヤーンハーダオとは

名前: ノンオー・ガイヤーンハーダオ 
生年月日: 1986年11月10日
身長:171㎝
体重:~65.80㎏(試合時)
スタイル:オーソドックス
所属ジム: Evolve MMA
主戦場団体: ONE Championship

ノンオー選手は、タイの東北部サコンナコーンという場所で生まれました。

ご両親とお姉さん2人の5人家族でしたが、とても貧しかったそうで、家族がしっかり生活していけるくらいのお金を稼ぎたいと考えていた折、村のムエタイジムに興味を持ちムエタイを始めました。

14歳の時によりお金を稼ぐチャンスを得るため首都のバンコクへ単身引っ越し、15歳でムエタイの聖地ラジャダムナン・スタジアムで勝利を収めています。

その後もラジャダムナンと並ぶムエタイの聖地ルンピニー・スタジアムで4階級の世界王者になるなど活躍しますが、2015年に一旦現役を引退します。

しかし2018年4月に復帰し、現在は『ONE Championship』のバンタム級ムエタイ世界王者として、圧倒的な強さを持ったまま君臨しています。

そんなノンオー選手ですが、性格は真面目で控えめなようで、試合前のインタビューでもトラッシュトークは一切せず率直な想いを語っています。

だからこそ試合時の強さがより輝いて見える選手です。

ノンオー・ガイヤーンハーダオのファイトスタイル

ノンオー選手の戦い方は、典型的なムエタイスタイルです。

重心の掛け方は前足と後ろ足で5:5もしくは4:6で、1ラウンド目はミドルキックや前蹴りで相手を観察。

その後ラウンドを重ねるに連れ少しずつギアを上げ手数が多くなっていき、勝利が濃厚になった最終ラウンドでは無理して攻め込むことはせず相手を上手く封じ込めて勝利します。

しかしそれだけではなく、チャンスや隙があれば一気に攻め込み相手をKOする脅威的な攻撃力を持っているオールラウンドなファイトスタイルを取ることができる選手です。

ノンオー・ガイヤーンハーダオの強さ

ノンオー選手の強さの1つとして、恐ろしく読みづらく早い右ミドルキックが挙げられます。

通常、単発で打つミドルキックはガードされたりスウェーされてかわされてしまうことも多いのですが、ノンオー選手は巧みなフェイントと相手の動きに合わせて華麗に当てることができています。

ノンオー選手と過去に対戦した元シュートボクシング王者の鈴木博昭選手は、「あのミドルと右ストレートのタイミングが過去イチ読みづらい」と評するほどです。

ノンオー選手が使うフェイントについて、Youtubeチャンネル『FamilytimesFT』でとても分かりやすく解説・実践してくれています。

また、それと同等もしくは以上に脅威なのが右ストレートです。

ムエタイ選手ということでキックが主体とイメージしている人もいると思いますが、ノンオー選手の右ストレートは一撃で相手を沈めます。

右ミドルキックをはじめ様々な攻撃で相手のスタミナや集中力を削り、フィニッシュブローとして右ストレートで倒すという、まさに理想的な勝利を実現しています。

↓右ストレートでKOしている試合はこちら

もちろん首相撲や肘打ちも得意で、どの距離でも弱点らしい弱点が見つからない、難攻不落の存在です。

事実、2021年6月現在で『ONE Championship』の戦績は全勝です。

まとめ

以上、ノンオー・ガイヤーンハーダオ選手についてご紹介しました。

ノンオー選手は現在34歳と、格闘技界では若いというわけではありませんが、今のところ負ける姿が想像できません。

この圧倒的な王者を打ち破る者が出てくるのか、今後とても楽しみです。

最後に、『ONE Championship』の記事でノンオー選手が語った言葉で、とても胸を打たれたものがあったので抜粋してご紹介します。

「やりたいことがあるなら、最大限の結果を期待すべき」

「もし成功例として自分を考えてくれるなら、自分は忍耐強く、強い決意をもって一生懸命に頑張った。諦めることなく、目標に向かってできることは何でもやり続けた。それによって自分の家族の生活を豊かにすることができたから、忍耐強く戦い続けなければならなかった」

「ムエタイは人生について教えてくれた。失敗してもいつも失敗するとは思わないでほしい。いつか自分の日が来ると思ってほしい。挑戦し続け、戦いつづけなければいけない。ムエタイはタフになることを教えてくれるから、ベストを尽くしてほしい」

出典:
https://www.onefc.com/jp/features/get-to-know-nong-o-gaiyanghadao/

決して相手を挑発したりせず、冷静に誠実に戦うノンオー選手は、個人的にとても好感の持てる選手です。

この記事で気になったという人は、ぜひ彼の試合を今後も楽しみに待ちましょう。