格闘技をやっている人は、男女関係なく、多かれ少なかれ「強くなりたい」という想いを持っています。

僕自身もその想いは持っていますし、今格闘技に興味を持っている人や始めることを考えている人も同じ想いを抱えているのではないでしょうか。

このご時世、最終的に自分の身を守れるのは自分だけですから、他人と闘う力を身に付けるのに格闘技は持ってこいだと思います。

しかし、格闘技をやっている人だからこそ陥りがちな勘違いや驕りがあります。

今回は、その点について具体的にお話していきます。

格闘技をやっている人、これから始めようと思っている人にはぜひ戒めとして頭の片隅に置いていただきたいと思います。

喧嘩に強くなったと勘違いする

そもそも格闘技を喧嘩に使うのはご法度ですが、中途半端にかじっている人に特にありがちな勘違いがこれです。

「俺ボクシングやってっから!」とか「総合格闘技で試合とかも出てるし~」なんて自慢気に周囲に話し、「ヤンキーなんて俺から見たらガキと同じよ!」と強いアピールをする人がいます。

ハッキリ言いますが、格闘技と喧嘩は全くの別物なので、『格闘技で強い=喧嘩で強い』なんてことはありません。

確かに格闘技をやっていれば有利なことはありますが、ルールのある格闘技とルールのない喧嘩では勝手が違いすぎます。

格闘技であればレフェリーによって勝敗が判断されますが、喧嘩にはそんなもの無いので、何をもって勝ち・負けとするのか自体も曖昧です。

これは僕の高校時代にある先生が話してくれたことですが、先生の友人だった空手四段の実力を持つAさんが、紆余曲折ありヤ○ザと喧嘩になったそうです。

結果はどうなったかというと、Aさんのボロ負け。

先生はAさんに「相手も何かの格闘技経験者だったのか?」と聞きましたが、Aさんは首を横に振るとこう答えたそうです。

「そんな感じではなかったけど、パンチもキックも軌道がめちゃめちゃだから読めなかった。単純に喧嘩慣れしていた。」

つまり、空手にあるような型にはまった軌道の攻撃ではなく、『喧嘩独特の攻撃』だったため、避けることも防御することも難しかったというのです。

空手四段という腕前があってもそんな状態なんですから、単に格闘技をやっているというだけではダメなんだということが、これでよく理解できると思います。

自分が超人になったと勘違いする

これはある程度実力が付いてきた時に陥りがちなことですが、格闘技で強くなると普通はできないこと(高所からジャンプして無傷で着地する、大人数相手でも戦って倒せる等)をできると勘違いしている人がいます。

お恥ずかしながら、僕も以前はそんな超人じみた力が自分にはあると思っていた時期がありました。

しかし、現実にはそんなこと有り得ません。
どれだけ格闘技で強くなろうが、あくまで人間であることに変わりはなく、他の能力が向上しているなんてことも無いのです。

ドラマや映画では格闘技経験者がバッタバッタと悪人を倒していきますが、実際に自分がやろうとしたら開始1分で大ケガするか死んでいます。

現実と妄想の境目は明確にしておかなければなりません。

人気者になれると勘違いする

格闘技をやっていると有名な選手と一緒に練習したり、会える機会があったりします。

そうすると図々しく握手を求めたり、写真を一緒に撮ってもらって、それをSNSにアップして自慢したり、友達との飲み会や合コンなどで話したり見せびらかして、みんなに注目されて人気者になろうとする人がいます。

しかし、格闘技は正直なところ、日本では誰もが知っているメジャーなスポーツというわけではありませんし、格闘技自体どんなものかをよく分からない人の方が多い状態です。

そんは人達に自慢気に話してもスゴさはよく分からないですし、そもそも格闘技の話題に興味を持っているかどうかも分かりません。

それにそういった話は自分がスゴいわけではないので、人によってはかえって「あいつ何であんな自慢気なの?」と思われて不評を買う可能性だってあります。

人気者になるにあたって大切なのは、自分自身の人間性であることを忘れてはなりません。

常に謙虚で真摯な姿勢で格闘技に取り組む

「格闘技をやっている人は肉体的にも精神的にも強い」と言われますが、残念ながら全員がそうではありません。

上に挙げたように、とんでもない勘違いをしていたり、人を見下しているような人もいます。それは格闘技に限らず、どんな世界にもいると思います。

でも、大半は優しく気さくで謙虚な人です。そして、そういう人が残っていくものです。

格闘技をやっているからこそ、そういった人間として大切な部分を忘れず勘違いしないように注意しましょう。