『格闘技』と『護身術』。
両者は世間的には、同じものとして捉えられているフシがあります。
実際のところ、格闘技ジムでも宣伝文句の1つに「護身術に最適!」というものがあったりしますし、護身術で習うことは格闘技で習うことと重なる部分もあります。
そのため、線引きが曖昧になっていることは否めません。
しかし格闘技と護身術は、しっかり見てみるとかなりどころか全く異なります。
そこで今回は、両者の違いをできるだけ分かりやすく解説したいと思います。
格闘技と護身術の種目
解説の前に、格闘技と護身術という大きな括りをもう少し具体的にするために、それぞれに属する種目を見ていきましょう。
格闘技
・ボクシング
・キックボクシング
・柔術
・レスリング
・総合格闘技
etc…
護身術
・クラブマガ
・システマ
etc…
ボクシングやレスリングはオリンピック種目となっており、試合を観たことがある人も多いのではないでしょうか。格闘技の中でも、知名度は高いと思います。
一方でクラブマガやシステマは、「なにそれ?」という人が圧倒的に多いです。
習える場所はありますが格闘技ジムほど多くはなく、また試合という概念が無いためテレビで放送されることもありません。
各種目を細かく説明すると長くなるので、ここではこういうものがあるという認識をしてもらえれば大丈夫です。
最大の違いはルールの有無
格闘技と護身術の違いは何か?という質問があった場合、最も簡潔に分かりやすく回答するならば『ルールが有るか無いか』です。
格闘技には必ずルールがあって、選手はこのルールの範囲内で戦うことになります。
例えばボクシングでは相手を抱き抱えたり投げ飛ばすのは禁止されていますが、これはボクシングがそういうルールだからです。
これに対して護身術は、ルールが存在しません。護身術の目的はただひとつ、『自分の身を脅威から護ること』だけです。
例えば街で歩いていたら肩がぶつかったと言って絡まれる、包丁を手に持った通り魔が背後から襲ってくるなど、ルールなんてありません。
格闘技に試合があって護身術に試合がないのは、この点が大きく関係しています。
身を護れればOKな護身術で、どちらの実力が上かなんて概念は不要だからです。
似ている点もたくさんある
他方で、格闘技と護身術には似通った点もあります。
護身術におけるパンチやキックの打ち方、グラウンド(寝技)でのテクニックなどは、格闘技で使うテクニックと一緒だったりまします。
だから格闘技を経験している人は護身術の上達が早い印象がありますし、逆も然りです。
あくまで技術を使うのは人間なので、効率を求めれば同じテクニックに行き着くのは納得できるところです。
ただ、格闘技は『相手と戦うこと』が前提なのに対し、護身術は『自分の身を護ること』が前提なので、どちらかの経験者はこの意識の違いに戸惑うことが多いです。
まとめ
格闘技と護身術の違いはルールが有るか無いかという点ですが、似ている点も多くあって区別が難しいのは事実です。
「どちらを習うのがオススメか?」と質問されることもありますが、答えは「強くなって誰かと戦いたいなら格闘技、何かあった時に自分の身を護れるような力を付けたいなら護身術」でしょうか。
どちらも自分を強くすることに変わりはありませんが、目的の違いで見ればそのようになると思います。
格闘技も護身術も、年齢や性別に関係なく誰でも気軽に取り組めるものになっています。
興味がある人は、まずはどちらも体験してみましょう。