ボクシングの練習の中で、最も実戦的かつハードなのはスパーリングです。
試合と違うのはグローブの大きさとヘッドギアの有無くらいで、あとはほとんど変わりません。
お互い全力でパンチを打ち合うので、緊張感も疲労度も他の練習と比較すると群を抜いて高いです。
時折、ボクシングを始めようか迷っている方から「スパーリングはケガが怖いのでやりたくないけど強くなれますか?」と質問されることがあるので、この記事ではその点についてび解説します。
なお、ここでの『強くなる』とは、『その辺りにいるヤンキーに勝てるくらいのレベル』と定義します。
スパーリング無しでは強くなれない
はじめに結論から言うと、スパーリング無しで強くなることはできません。
もちろんスパーリング以外の練習をするだけでも、ある程度の強さを身に付けることは可能です。
パンチ力やスタミナなどは、何もやっていない人と比べれば遥かに変わります。
しかし、スパーリングをしている人としていない人とでは、決定的な強さの違いがあります。
人間と本気で殴り合うというのは、想像以上に負荷がかかるものです。
こればかりは実際にやってみないと分からない感覚ですが、相手との距離感やプレッシャー、打ち込む覚悟と打ち込まれる恐怖など、スパーリングという実戦練習でしか掴めないものがたくさんあるのです。
ミット打ちやサンドバッグ打ちとは根本的に違う
よくミット打ちやサンドバッグ打ちをひたすら練習して、自信満々になっている人がいます。
しかし両方とも相手が打ち返してくることはありませんし、予想外の動きをされることもありません。
そのため、いざスパーリングをやってみると、全く通用せずボコボコにやられます。
そして仮にヤンキーと戦う場合は路上での喧嘩なので、スパーリング以上の緊張感やプレッシャーなども重なり、スパーリングすら経験していなければどうなるかは明白です。
マスボクシングだけでは不十分
スパーリングとは別に『マスボクシング』と呼ばれる練習があります。
全力で打ち込むことはなく、当てない攻防(当てるにしても1~2割程度の力)を繰り広げる練習方法です。
パワーでごり押しすることはできないため、動きやテクニックの上手さがより問われて、さらにスパーリングよりもずっと安全に取り組める便利な練習となっています。
これを重ねることで「自分はこんなに強い」と自信をつける人も多いです。
しかし、これだけでは本当に強くなるためには不十分です。
スパーリングのように全力で打ち込まれず、ケガをするリスクもあまりないので、どうしても緊張感には欠けます。
マスボクシングとスパーリングを両方やることによって、はじめて実戦的な実力が身に付いていくので、マスボクシングだけではあまり効果は見込めません。
喧嘩とは根本的に異なる
そもそも論とはなりますが、ボクシングと喧嘩では根本的に異なる部分が多いです。
喧嘩にはルールなどありませんし、レフェリーなど途中で止めてくれる人もいません。
何より1対1とは限りませんし、素手とも限りません。
つまり、スパーリングをやる・やらないに関わらず、『ヤンキーに勝てるくらいになる』という強さの目安はその域まで到達したかを測ることも難しいですし、目安としてとても曖昧であることは認識しておく必要があります。
とりあえず始めてみることが第一歩
スパーリングへの恐怖心は、多かれ少なかれ誰もが抱えているものです。
僕自身、初心者の頃にプロ選手がバチバチにやり合っているのを見て、「自分には無理だ・・・」と思っていました。
ジム側としても、選手として試合に出るなどの理由がない限り、スパーリングをさせることはほとんどありません。
※ジムに依るところが多いので一概には言えませんが。
また、たとえスパーリングはやらなくても、何もやっていないよりは間違いなく強くなれるのも事実です。
なのであまり難しく考えず、まずはジムに入会してボクシングを始めてみるのが1番ではないかと思います。
練習していく中である程度実力が身に付き、自分がその気になれるのであればチャレンジすればいいですし、やはりやりたくなければそのままでもいいのです。
何にせよ、実際に練習してみないと分からないことはたくさんあるので、少しでも気になっているのであればやってみるのがベスト。
自分に合う・合わないという点の判断も含めて、ぜひ試してみることをおすすめします。