格闘技ジムの入会を促す宣伝文句で、このようなものを見かけることがあります。
『いじめられっ子集まれ!』
『いじめを克服しよう!』
分かりやすく言うと、格闘技を習って心身を鍛えて、いじめを受けないようにしようということですね。
実際、元々はいじめを受けていて、「強くなって見返してやりたい!」などの想いから格闘技を始めた結果、プロになったりチャンピオンクラスにまで上り詰めた格闘家もいます。
こうして見るといじめられっ子に格闘技は最適のように感じますが、果たして格闘技を習えばいじめは無くなるのでしょうか。
この記事は、
という方々の役に立てればと思い書きました。
僕自身のことを少し紹介させてもらいますと、
・格闘技歴10年以上
・アマチュア選手としてキックボクシングなどの試合への出場経験あり
・ボクシングのプロライセンス取得を目指して現役で練習中
の身であり、小学校時代にいじめられていた経験もあります。
この記事はそんな僕の経験を踏まえて書いているので、それなりに参考になると思います。
いじめを受けている原因は何か
まずいじめられっ子が格闘技を習う前に考えるべきことは、『そもそもなぜいじめが始まったのか』ということです。
いじめをする側が100%悪いのは言い訳のしようがない事実。
しかし、いじめられる側になったのにも何らかの理由がある可能性はあります。
例えば僕の場合は、いじめられるきっかけを作ったのは僕の方でした。
いじめてくる周囲にも落ち度があったことは間違いありませんし、「仕方ない」で終わらせることはできません。
でも、何の理由も原因もきっかけもなく、ある日からいきなりいじめが始まるのはかなり稀なケースだと思います。
そしてここをしっかり考えておかないと、格闘技を習ってもいじめは無くならなかったり、逆に当人がいじめっ子に回る可能性もあります。
酷いことを言っているようですが、まずはいじめられっ子となった経緯は何なのか考えてみましょう。
場合によっては、格闘技を習わなくたって解決できるかもしれません。
いじめられっ子から抜け出すカギは『意識の変化』
僕自身、格闘技をそれなりにやってきて確かにいじめられっ子が習うことで、一定の効果を得られる見込みはあると思います。
それは身体が鍛えられて強くなり、自分もそれを実感出来るようになってくると自信がついてくるからです。
いじめられっ子になりやすい特徴として、
・自分に自信がない
・身体が強くない(小柄だったり痩せている)
・心の拠り所がない(他人より優れていることがないと感じている)
などがあります。
格闘技を習うことでここに変化が生まれれば、いじめる側もいじめにくくなって次第に沈静化する可能性は高いです。
ただ逆に言えば、格闘技をやっても変化が起きなければ意味はありません。
例えばサボってロクに練習しなかったり、嫌々やっていてはいつまで経っても変わることはないのです。
格闘技は万能ではなく、あくまで手段の1つです。
いじめられっ子本人の意識が変わらなければ何も生まれないことは忘れないでいてください。
格闘技を使って仕返しはしない
格闘技は相手と闘うスポーツです。
だから自分が相手に攻撃をするし、相手も自分に攻撃してきます。
そこで学べることは、『痛みを与える側』の気持ちと『痛みを受ける側』の気持ちです。
正直に言うと、攻撃する側はそれが上手く決まると嬉しいものです。
自分の狙ったことができて、良い気持ちになります。
これはもしかしたら、いじめる側の気持ちにやや近い部分があるかもしれません。
しかし同時に、攻撃を受ければ痛いし悔しいです。これはいじめられる側にはよく理解できる気持ちだと思います。
両方を体感し理解することができるのは、とても価値のあることです。
この学びを活かして、たとえ格闘技を習い強くなったとしても、それを仕返しに使うのはやめましょう。
それでは今まで自分をいじめてきた人間と同類になってしまいます。
まとめ
本記事の要点をおさらいします。
格闘技を始めることで全てのいじめ問題を解決することは、正直難しいと思います。
しかし、やってみることで気付きや学び、新しい居場所ができて、自分に良い変化をもたらすキッカケとなる可能性は十分あります。
やってみたいと思うなら、まずは飛び込んでみましょう。
それが、いじめに対してどう役立つかは人によりますし役立つかも分かりませんが、何もしないよりはずっといいです。